「ZOZOTOWN」が儲かっている理由

■「ZOZOTOWN」が儲かっている理由

●物流の仕組みが違う

・楽天市場では一部を除いて商品の発送は各店舗が行います。一方、ゾゾタウンでは各店舗の商品を自社の物流施設で預かります。そして保管、写真撮影、梱包、発送までの一連の作業を全て代行します。
・物流の仕組みの違いは手数料率に表れています。楽天市場は各店舗の売上高の2.0~7.0%のシステム利用料(加えて1万9,500~10万円の月額出店料がかかる)を受け取っています。ちなみにアマゾンは15%が中心の出品手数料を受け取っています。ゾゾタウンの受託手数料率は先に述べたとおり約28%で、競合と比べて高い受託手数料率を実現できています。
これはファッションEコマース企業ならではといえるでしょう。アパレル製品は物流施設で在庫化することができるからです。楽天市場の場合はそうはいきません。食品や飲料といった長期的な保存が難しい製品を扱うからです。アマゾンのようにできなくもないですがハードルは高いでしょう。ゾゾタウンは保存がきくアパレル製品に特化しているのでその利点を最大限に生かしているといえます。

さらに、ゾゾタウンは受託販売がほとんどのため在庫を持つことによる売れ残りなどのリスクが生じません。在庫の所有権は各ブランド提供企業にあるからです。ゾゾタウンは大量の在庫を抱えているにもかかわらず在庫特有のリスクがないのです。

ゾゾタウンが高度な物流機能を擁していることはブランド提供企業にとっては非常に魅力的です。規模が大きい企業は別ですが、小規模の企業が商品の保管や梱包、発送を行うことは大きな負担です。Eコマースで安定した需要があればいいのですが、不安定な場合は作業効率の悪化とサービス品質の低下を招いてしまいます。注文が突発的に増えた場合、人員を確保することが困難です。逆に注文が少なければ無駄な人員が発生してしまいます。

ゾゾタウンが物流機能を一手に引き受けることでブランド提供企業の負担感は低減されます。一部の企業で多量の注文が入っても、注文が少ない企業が他に存在することで作業量が平準化するからです。大規模物流ならではのメリットといえるでしょう。

ゾゾタウンが物流を一括で行うことで商品の到着日時の短縮化にもつながっています。作業効率が高まるため迅速な出荷が可能だからです。「即日発送サービス」という即日配送するサービスも可能にしています。即日発送を小規模の企業が行うことは困難でしょう。これも大規模な物流機能を持つゾゾタウンならではのサービスといえます。

Eコマースでは試着ができない問題があります。しかしこれもビジネスモデルの構築で解決しました。ゾゾタウンには有料会員サービス「ZOZOプレミアム」と「ZOZOプラチナム」があります。これらのサービスに加入していれば、一部商品を除いて送料無料で返品できます。自宅で試着してみて、サイズが合わなかったり気に入らなかったりした場合でも返品することができます。

●売上高は小さいが、利益率が高い

衣料品通販サイト「ZOZOTOWN(ゾゾタウン)」を運営するスタートトゥデイの時価総額が8月1日に1兆円を超えた。アパレル業界はかつてない不振にあえいでおり、そのなかで同社は羨望のまなざしを集める存在だ。

時価総額には企業の将来への期待感があらわれる。百貨店最大手・三越伊勢丹HDの時価総額は約4480億円(8月14日現在)で、スタートトゥデイの2分の1以下にとどまっている。一方、連結売上高はスタートトゥデイが763億円(2017年3月期)なのに対し、三越伊勢丹HDは1兆2534億円(同)と、まだ百貨店のほうが圧倒的に大きい。

なぜゾゾタウンはここまで評価されているのか。その理由は、利益を稼ぎ出す力の強さにある。運営会社スタートトゥデイの売上高は、直近2年で約1.8倍に増えている。しかし、それより重要なことは利益率が落ちていない点だ。この3年間の営業利益率は「36.6%→32.6%→34.4%」と、業界トップ級の高水準で推移している。

●「在庫リスクゼロ」のビジネスモデル

一般的に「売上高の拡大」と「高い利益率」を同時に達成するのは難しい。なぜゾゾタウンにはそれができたのか。最大のポイントは「受託型」というビジネスモデルだ。ゾゾタウンに出店しているブランドは、ほとんどがテナント形式になっている。その際、出店テナントはゾゾタウンの倉庫に商品を預ける。お客から注文が入れば、ゾゾタウンの倉庫から商品が配送される仕組みだ。

この仕組みでは、商品はゾゾタウンの倉庫にあるのだが、「在庫リスク」を抱えるのは出店テナント側になる。ゾゾタウンは商品を仕入れているわけではないので、たとえ商品が売れ残っても損失が出るわけではない。もちろん商品が売れれば、代金は出店側に入るが、そのかわりゾゾタウンは商品が売れるたびに「受託販売手数料」をとる。これが同社の売上高として計上されている。

ゾゾタウンがファッション商材を自ら仕入れ、それを自社在庫として持ちながら販売するという買取型ショップはごくわずか。17年3月期でいえば、受託型は947店に対して、買取型は7店である。

 

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